今回は「一人作業でエア抜きする方法」についての記事です。
私が一人でブレーキフルードのエア抜きをするときの方法は、マスターシリンダーのフルードタンクにコンプレッサーのエアーを送って、空気圧によってフルードを押出す方法です。
この方法は従来の負圧の力でキャリパーからフルード引っ張る方法と違って、タンクからフルードを押出すのでエアが抜けやすいメリットがあります。
記事の目次
自作の加圧システムで一人作業でエア抜きする方法
ブレーキフルードをエア抜きする方法
一人でブレーキフルードをエア抜きする方法は2つあります。
一人作業の方法は2つあります
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負圧による引張り
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圧送による押出し
*負圧タイプのブレーキブリーダー
出典:アストロプロダクツ AP ブレーキブリーダーキット VB123
負圧によるエア抜きは最も普及している一人作業のエア抜き方法です。
コンプレッサーからのエアーの圧力を利用し、負圧を発生させてブレーキキャリパー側からブレーキフルードを引っ張り出します。
この方法のメリットは工具の値段が安くて誰でも作業可能な点ですが、その反面、負圧の力では十分にエア抜きができない、エアが抜けきらない、ことがあります。
*圧送タイプのブレーキブリーダー
出典:KTC ブレーキブリーダー
圧送によるエア抜きは、マスターシリンダーのフルードタンクに圧送装置から圧力をかけたブレーキフルードを送り込み、キャリパーからフルードを押出す方法です。
フルードタンクから押し出すと言うことは、エアが噛んでいないフルードを送ることになるので負圧よりも確実にエア抜きができる方法とされています。
ただ、圧送装置が非常に高価なのであまり普及していません。
使い方はこんな感じです。
私は今まで負圧のブレーキブリーダーを使っていたのですが、正直イマイチに感じていました。
だけど、圧送のブレーキブリーダーを買える余裕はない、、、
と言うことで、安くて圧送のように確実にエア抜きができるシステムを自作することにしました。
自作の加圧システムでエア抜きをする
私が自作したエア抜きシステムはコレです
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マスターシリンダーのフルードタンクに空気圧をかける
圧送のブレーキブリーダーは、圧送装置から圧力をかけたフルードをフルードタンクに送り込む方法でしたが、私の方法はフルードタンクにフルードを送るのではなくコンプレッサーのエアーを送る方法です。
つまり、エアーによってフルードを加圧して押し出すんです。
加圧によるエア抜きシステム
今回、私がこのシステムを作るのにかかった費用は約2万円でした。
こんな感じの加圧システムです。
ボールバルブはエアーの供給のON/OFFをするために取付けてあります。コンプレッサーからのエアーはボールバルブのカプラに接続します。
コンプレッサーから供給されたエアーはレギュレーターを通ります。レギュレーターとは減圧弁と呼ばれる、供給エアーの圧力を低くして排出する機器のことです。私のガレージでは、コンプレッサーからのエアーを0.6Mpaに設定しているので、0.6Mpaをレギュレーターによって0.15Mpaに減圧してフルードタンクのアタッチメントを経由してフルードタンクに供給します。ちなみに、圧力の調整方法は、レギュレーターの調圧ハンドルを回転させておこないます。
フルードタンクのアタッチメントとは、フルードタンクの蓋に取付けて密閉する部品です。この部品はKTCの圧送のブレーキブリーダーのオプションの部品なので単品購入できます。フルードタンクにエアーを送ったときにエアーが漏れてしまうとタンクに圧力がかからないので、キャリパーからフルードが抜けてきません。なので、KTCの専用品を使用することにしました。
出典:KTC ブレーキブリーダー カーメーカー別推奨アタッチメント
アタッチメントは、車種によって、メーカーによって、種類があるので、分からない場合はKTCに問い合わせてみるといいです。
因みに私が使用しているのは、ホンダ車用の「アタッチメントG2」です。
加圧システムでエア抜きする方法
加圧システムでエア抜きする方法を紹介します
- キャリパーにフルードのキャッチタンクを接続する
- フルードタンクにアタッチメントを接続する
- レギュレーターの調圧ハンドルをMAX左回転させておく
- 加圧システムにコンプレッサーエアーを投入する
- レギュレーターの調圧ハンドルを徐々に右回転させて圧力を挙げる
- 圧力を上げすぎるとフルードタンクが破損するので0.15Mpa程度にする
- ブリーダープラグを緩めてフルードを抜く
- 作業が終わったら、レギュレーターの調圧ハンドルをMAX左回転にして0Mpaにする
- フルードタンクのアタッチメントを外してフルード補充する
- 片づけて作業完了
ざっくりですが、こんな手順になります。
加圧システムの詳細説明
キャリパー側はこんな感じです
フルードタンク側はこんな感じです
この作業の重要ポイントが3つあるので紹介します
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加圧の圧力を高くしすぎない
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フルードタンクのアタッチメントを取外すときは加圧を0Mpaにする
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フルードタンクのフルードはエア抜き1か所から2か所ごとに補充する
コンプレッサーからのエアーをレギュレーターで減圧してフルードタンクに供給(加圧)するわけですが、圧力を高くしすぎるとフルードタンクが破損するので要注意です。フルードタンクはプラスチック製なので破損し易いのです。私の場合はコンプレッサーエアーを0.15Mpaに減圧してしようしています。
フルードタンクのアタッチメントを取外すときは必ずレギュレーターからのエアー圧力を0Mpaにします。圧力をかけたままでアタッチメントを取外すと、多分ですがアタッチメントが吹き飛びます。危険なのでレギュレーターの調圧ハンドルをMAX左回転にして0Mpaにしましょう。
フルードタンクのフルードは自分で補充しないといけません。ただ、アタッチメントを取付けているので、どれくらいフルードが減ったのか?が分かりにくいです。なので、エア抜きを1か所から2か所終わったらアタッチメントを外してフルード補充するようにします。
*実際のエア抜き作業の動画を載せておきます。ご覧ください。
フルードタンクのアタッチメント装着について
フルードタンクのアタッチメントは車種やメーカーによって種類があるので要注意です。
アタッチメントが合っていないと、エアーが漏れてしまいフルードを押出すことが出来ません。
アタッチメントの取付け
私が使用しているアタッチメントはKTC製の「アタッチメントG2」です。取付けは簡単で10秒あれば取付けできます。
他のアタッチメントについてはKTCのカタログで調べてみてください。
ポイントまとめ
それでは、自作の加圧システムについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 加圧システムの材料費は2万円程度
- フルードタンクに空気圧をかければ一人でエア抜きができる
- 必要が部品はKTC製のアタッチメント、レギュレーター、バルブ、エアーホース
- 注意点は「圧力をかけすぎない」「フルードをこまめに補充する」です
以上4つのポイントです。
*KTCのアタッチメントの購入はこちらから
*エアーレギュレーター(減圧弁)の購入はこちらから
*KTCブレーキブリーダーの購入はこちらから
関連記事:【道具/工具】
以上です。