今回は「土地や建物の売買手続きのやり方」についての記事です。
不動産である土地や建物の売買は人生で何度も経験することはないでしょう。私もその一人で、ガレージを建てるために人生で初めて土地を購入しました。
不動産の売買は売主から買主に所有権を移転し登記のですが、その手続きの方法や順序ははっきりいって経験者でなければ分からない事だらけです。
そこで今回の記事では、私が実際に土地を購入した経験を踏まえて、記事の前半では一般的な手続きの流れを説明して、後半には私が実際に土地を購入したときの手続きの流れを紹介していきます。
記事の目次
土地や建物の売買手続きのやり方
不動産の売買とは
不動産(土地と建物)の売買とは、売主がある不動産の土地と建物を所有する権利である所有権を買主に移転し、買主は売主に代金を支払う契約のことです。
一般的な売買の流れを解説
不動産の売買の一般的な流れはこんな感じです。
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買いたい土地を見つける
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不動産業者に連絡
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不動産の売買の契約をする
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ローンの手続きをして金融機関から借り入れをする
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土地の代金を支払い、所有権移転をする
では、もう少し掘り下げて説明していきましょう。
買いたい土地を見つける
土地探しに関しては「ガレージの土地探しの方法」でも詳しくまとめていますが、まずは買いたい土地や建物=不動産を探さねばなりません。
不動産を見つける方法には、例えばこんな方法があります。
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不動産情報サイトの利用
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広告やチラシで見つける
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「売地」の看板を探す
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身の回りの紹介や知り合いの不動産屋に探してもらう
一番身近で手軽なのは、不動産情報サイトで探すことです。売地の看板がある不動産の多くは情報サイトに載っていますし、数多くの不動産屋が取り扱っている不動産をめちゃくちゃ簡単に調べることが出来るのでお勧めです。
私の場合は【不動産情報サイト】を利用して探したり、不動産情報サイトからのメール問合せで知り合った不動産屋に探してもらったりしました。
不動産業者に連絡
買いたい不動産が見つかったら、次に行うことはコレです。
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買いたい不動産を取扱っている不動産業者に連絡
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不動産の媒介(仲介)をしてくれる不動産屋に連絡
アットホームのような不動産情報サイトで気になる土地を見つけたら、その不動産を取り扱っている不動産屋に「購入希望」の旨を伝えます。
それ以外に売主から直接土地を購入する場合には、売主と買主のあいだに入り取りまとめるために不動産屋に依頼することが必要となります。
不動産の売買の契約をする
不動産の売買には契約が必要となります。具体的に契約とは売主が買主に不動産を引き渡して所有権を移転することです。
この契約には【宅地建物取引士】の国家資格をもった人=不動産屋が必要になります。
宅地建物取引士が必要な理由
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物件や取引条件に関する重要事項の説明
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重要事項の説明を行った証明である記名と押印
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売買契約に記名と押印
上記3つは【宅地建物取引士】にしか認められていない行為です。つまり、契約や取引に関する書類の作成から説明、その書類が公的に通用するための記名と押印は宅地建物取引士が行うことになるのです。
もし不動産の購入資金を金融機関で調達する場合は予め不動産屋と売主に伝えておき、支払期日について決めて売買契約書に記載しておきます。
また、この契約が成立したら、不動産の購入費用の一部を手付金として売主に支払うのが一般的です。
ローンの手続きをして金融機関から借り入れをする
不動産の売買契約が成立したら、購入費用を調達しなければなりません。
自己資金で賄える場合には必要ありませんが、不動産の購入は金額が大きいので金融機関で調達(ローン)するのが一般的です。
金融機関に行ってその日のうちに費用を調達することはできないので、売買契約をする前に金融機関で借り入れの相談をしておくとスムーズに話が進みます。
借入に必要な書類にはこんなものがあります。
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売買契約書
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登記事項証明書
不動産を購入する目的で借り入れをするのですから、上記のような金融機関が必要とする書類が必要となります。
土地の代金を支払い、所有権移転をする
不動産の購入費用が調達できたら、土地の代金(手付金を除いた残金)を支払って法務局で不動産の所有権移転をいます。
所有権移転のポイントはコレです
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所有権移転の申請は司法書士がおこなう
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司法書士には所有権移転の手続き費用が発生する
所有権移転登記は個人でおこなうこともできますが、不動産屋が手配した司法書士に依頼するのが一般的です。
司法書士は国家資格を持つプロですから、書類の不備や間違いがなく円滑に登記ができるので安心して任せられます。なので、司法書士に費用が発生してしまいますがココはおまかせするべきでしょう。
また、所有権移転登記(不動産の登記記録の所有者を買主に変更)の申請は法務局でおこなうので、不動産の代金の支払いは時間を逆算して「午前中」か「午後一」に行い、その日のうちに所有権移転の申請をして登記するのが一般的です。
所有権移転までの流れを実体験で解説
私が購入したときの順序はコレ
私が土地を購入したときの手続きを紹介します。ちなみにですが、私が購入した不動産はガレージを建てるための土地です。
私の場合はこんな感じでした。
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土地の購入意思を不動産屋に伝えて、売主と売買の話しを進める
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不動産屋と買主の2者で事前打ち合わせと、専属専任媒介契約を締結する
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売主と買主と不動産屋の3者で不動産の売買の契約と手付金を支払う
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売主と買主と不動産屋と司法書士の4者立会いで、土地の代金を支払い、所有権移転をする
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申請して登記事項証明書を受取り完了
記事の前半で紹介した「一般的な売買の流れ」とほとんど同じですが、私の実体験を詳しく説明しようと思います。
土地の購入意思を不動産屋に伝えて、売主と売買の話しを進める
私は不動産情報サイトで土地を探して買いましたが、土地を買う前段階としては、不動産屋に詳しい土地の情報をメールで送ってもらい、その土地にガレージが建てられるか検討しました。
詳しくは「土地の購入で勉強になったこと」で解説していますが、土地にはいろいろな制限があるので「何でもかんでも建てられる」わけではないのです。
十分に検討して「ここの土地を買う」と決めたら、不動産屋に【購入の意思】を伝えて、値引きも含めて売主と売買の調整をしてもらいました。
不動産屋と買主の2者で事前打合わせと、専属専任媒介契約を締結する
不動産屋に売主との売買の調整をしてもらい、最終的な土地の価格を決定してもらってから事前打合わせを行いました。
ちなみにですが、基本的には不動産の価格は【購入の意思】がないと値引きはしてくれません。売買価格は売主次第なので値引きの可能性は十分にありますが、相手の気分しだいな面もあるので価格交渉には注意した方が良いです。
話しを戻しますが、私が不動産屋と事前打合わせでおこなった内容はこちらです
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専属専任媒介契約書に記名と押印
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土地の売買契約書と重要事項説明書の【案】の説明と確認
専属専任媒介契約書とは「土地の売買=宅地建物取引」を仲買の不動産屋(宅地建物取引士)に依頼するための書類です。
これに記名と押印をすることで、売買の媒介を正式に依頼し契約を締結することになり、売買の報酬を不動産屋に支払うことを約束したことになります。
不動産屋と専属専任媒介契約を締結した後は、買主と土地の売買をかわすために必要な土地の【売買契約書】と【重要事項説明書】の案(叩き台)の説明を受けました。
ここではしっかりと説明を聞いておき、分からない事や修正が必要な部分については納得するまで話し合いが必要です。
メモ 売買契約書とは
売買契約書とは、不動産の売買は高額なので争いを避けるために書面で契約を締結する契約書。
当事者間(売主と買主)での売買では必ず必要と言うわけではないが、宅地建物取引業者(不動産屋)による売買や媒介は、書面で契約を締結することが宅地建物取引業法で定められている
メモ 重要事項説明とは
重要事項説明とは、宅地建物取引業者(不動産屋)が不動産の売買に関して売主と買主に契約上の重要な説明が記載されている書類です
売主と買主と不動産屋の3者で不動産の売買の契約と手付金を支払う
売買の契約は【売主】と【買主】と【不動産屋】の3者でおこないました。
契約の時にやった内容はコレです。
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売主と初顔合わせ
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土地の売買契約書と重要事項説明書の説明と記名と押印
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契約ができたら、最後に手付金を支払う
私の場合は、この時点で初めて売主と顔を合わせました。顔合わせと言っても、堅苦しいものではなく、簡単な自己紹介とあいさつ程度でした。
お互いのあいさつが終われば、不動産屋と事前打合せでやっておいた【売買契約書】と【重要事項説明書】を不動産屋が【売主】と【買主】に対して説明が始まります。
書類の内容に間違いなければ、最後に記名と押印を【売主】と【買主】が行います。ちなみにですが、【売買契約書】と【重要事項説明書】は全部で【3部】あり、【売主】と【買主】と【不動産屋】のそれぞれの控えとなります。
書類の手続きが終わったら、最後に【買主】が【売主】に【土地売買契約書】で決めておいた【手付金】を支払い【売主】から領収書をもらいます。これによって不動産の売買の契約は完了です。
ここまで要した時間は1時間30分でした。
ちょっとここでワンポイント
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不動産屋の媒介報酬の費用を確認しておく
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司法書士の所有権移転にかかる費用を確認しておく
次回、残りの土地の代金支払いと所有権移転の時には、不動産屋の媒介報酬と司法書士の所有権移転の費用を支払うことになるので、金額に間違いがないように確認しておきましょう。
私の場合は全部で何十万円だったので、お金の準備が必要でした。
売主と買主と不動産屋と司法書士の4者立会いで、土地の代金を支払い所有権移転をする
土地の代金(残金)を支払い、土地の所有権移転登記が完了すれば一連の土地購入の手続きは完了ですが、私の場合は売買契約を終えて1週間後の【月末】の【10時】に代金の支払いと所有権移転を行いました。
月末の10時に所有権移転した理由
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固定資産税の分割
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午前中に売買を完了させて、午後に法務局で所有権移転登記するため
所有権移転をすれば、土地は売主から買主のものになりますが、それと同時に【土地の固定資産税】も買主の義務になります。固定資産税は売主が1年まとめて支払いをしているので、所有権移転した日を境目にして買主が売主に支払うのが通例のようです。なので、1か月単位の分かりやすい境目で所有権移転をすれば固定資産税の分担割合の計算は月割りでよいので計算が簡単です。
時間に関しては「土地の代金を支払い、所有権移転をする」で説明しているとおり、売買が完了したその日に所有権移転登記を終えるために早めの時間帯となるのです。
さて話しがそれてしまいましたが、土地の代金の支払いと所有権移転登記は【売主】と【買主】と【不動産屋】と【司法書士】の4者立会でおこないました。因みにですが、私は自己資金で土地の代金を用意したので金融機関の借り入れ(ローン)の手間はありませんでした。
4者が集まり行ったことは3つあります。
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土地の残金を売主に支払い、売主から領収書を受け取る
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不動産屋に媒介報酬の費用を支払い領収書を受け取る
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司法書士に所有権移転にかかる費用を支払いを受け取る
これによって、今回の土地の売買に関わる金銭のやり取りは全て完了となります。
支払いが終われば、残すは土地の所有者移転となりますが、登記申請を司法書士にやってもらうために買主側に必要なことが2つありました。
所有権移転の申請に買主側に必要だったこと
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委任状
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買主の住民票
この2点の書類が必要でその他必要な書類は司法書士が準備してくれます。委任状は司法書士が買主の代理人として所有者移転登記の申請を行うために必要で、この書類は司法書士が作成してくれるので書面確認したら記名と押印して完了です。
住民票は本人確認のために必要なので、事前に市役所などで最新の住民票を取得しておきました。
司法書士との書類のやり取りが終われば、その日のうちに法務局で司法書士が申請を行います。
申請して登記事項証明書を受取り完了
土地の所有者移転登記は土地(不動産)を管轄している法務局に司法書士が申請を行います。(個人でも申請可能ですが一般的ではないです)
申請は土地の代金の支払いを行った当日に申請するのが一般的で、この申請には法務局の審査があるため、登記が完了するまでには1週間から2週間かかるようです。
ですが私の場合は、月曜日に申請して木曜日に登記完了しましたので、おおよそ3日間で登記完了でした。おそらく法務局の規模(都市の規模)によって審査の時間に差があるのでしょう。
で、登記が完了すれば【登記事項証明書】(登記簿謄本)と呼ばれる不動産登記の内容を証明する書類を司法書士が取得してくれるので、登記事項証明書を手渡しか郵送で受取ります。私の場合は郵送で登記事項証明書を送ってもらい登記の事実を確認しました。
ここまでくれば、所有権移転登記は完了となり、土地(不動産)は確実に自分のモノになったことになります。
司法書士と不動産屋にかかる費用
補足ですが、司法書士と不動産屋にかかる費用についてまとめておきます。
結論から言えば、行政書士や不動産屋にかかる費用はピンキリなのですが、おおよその費用は下記の引用にあるように決まっています。
私の仲介手数料は下記の引用にある割合の上限額いっぱいの請求でした。
引用:アットホーム 仲介手数料とは
売主と買主の契約の仲立ちを行う不動産会社に支払う報酬です。
宅地建物取引業法等(法第46条・建設省告示第1552号他)により取引態様ごとに受け取ることのできる報酬の上限額が定められています。
取引態様が「売主」の場合は不要です。「媒介(一般・専任・専属専任)」「仲介」の場合、売買代金を以下のように区分し、それぞれ定められた割合を乗じて得た金額の合計額が上限となります。
- 200万円以下の金額 5.5%
- 200万円を超え400万円以下の金額 4.4%
- 400万円を超える金額 3.3%
(建物に係る消費税額を除外した額)
土地の所有権移転登記にかかった費用は、実費に関しては評価額が予想できてしまうので具体的な金額は伏せておきますが、司法書士報酬は3.6万円でした。
引用:佐藤卓哉司法書士事務所 不動産に関する登記費用(実費・司法書士報酬)の目安
依頼者の方にお支払いいただく金額は、実費と司法書士報酬の合計額となります。正式なお見積は、詳しくお話をお聞きした上で、ご提示致します。
実 費
- 法務局に納める登録免許税(相続によって名義変更が必要な不動産の固定資産評価額合計×0.4%)
- 登記事項証明書(不動産1個につき600円)
- 戸籍謄本類の発行手数料、取り寄せにかかった郵便代、定額小為替の発行手数料(当事務所で代行取得した場合)
司法書士報酬
- 大体5万円から、複雑な案件でも10万円未満、といったケースが殆どです。
土地や建物の売買手続きのポイントまとめ
それでは、土地や建物の売買手続きについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 不動産の売買には【宅地建物取引士】の国家資格をもった不動産屋が必要
- 買主は不動産屋と【専属専任媒介契約】を結び、不動産の媒介を依頼する
- 不動産の売買には【売買契約書】と【重要事項説明書】の説明を受けて記名と押印をする
- 不動産の代金は売買契約の時に、手付金を支払い所有権移転の時に全額支払う
- 不動産屋には売買報酬、司法書士には所有権移転登記の費用が発生する
以上5つのポイントです。
*土地を買うための勉強には「不動産登記」に関する本がおすすめです。
関連記事:【ガレージ建設】
以上です。